8月 4日 石川県 七尾市 第32回和倉名物三尺玉 北陸中日夏花火 晴れ


 昨年は仕事で行けなかっただけに、今年は入念なる仕事の段取りで、何とか観覧に漕ぎ着けました。仕事が忙しいのは結構な事だね、何て言われそうだが、仕事があってもほとんどが儲けがない案件ばかりで、次の仕事をもらう為に、やむなく赤字の仕事も引き受ける・・・・何とか食べていければそれでいい、そんな状態である。

 ほとんどの花火大会は企業協賛で成り立っている現在、花火を取り巻く環境は大変厳しくなっているのは言うまでもない。ここ、和倉温泉も円高や地震の影響で、外国人観光客の著しい減少から、きっと厳しい状態にあると思う。その中で、例年通りの開催というのは、この大会を支える多くの方のご尽力があってこそ!だと思います。

 さて、話は本題に戻りますが、到着はPM7時過ぎあたり、いつも通りに会社が終わってから高速、能登有料道路を乗り継ぎですが、まだまだ会場には余裕がある状態。駐車場も、いつも止めている場所はガラ空き状態だったのにはビックリした。
 会場に着いてからは、またいつもの通り、顔見知りの愛好家たちと(東京からもおいでの方がおられました)お会いして、開始まで歓談したり、プログラムをもらったり、夜店で腹ごしらえをしたりと、のんびりと過ごす。

 撮影場所も、たくさん大勢の方が観覧する訳だから、邪魔にならないように、観覧広場一番端っこに三脚を構える。この場所も、地元愛好家の方に譲り受けたもので、とても感謝である。風向きはいつも通り、能登島沖からの北よりの風、風上に立とうと思えば、能登島から撮影すれば良いのだが、遠すぎて花火を見る,感じるには至らない。さすがに、開始間際になると、人が混雑してきた。

 花火大会は、長野県アルプス煙火担当の三尺玉をメインに大会の中盤と最後に、水上1発,空中1発の計2発。その合間を、地元の能登煙火担当の4〜10号玉の単発、7台のスターマイン、7号玉による芸協花火10発が飾るといった内容。

 今大会の凄いところ、それは、気持ちのこもった打ち上げ,花火、非常にスムーズな大会進行、これに尽きる。この三位一体が成す、とても素晴らしい花火大会だと思う。正味1500発規模の花火大会で、これだけ内容の濃い打ち上げ花火を見る事は、そう出来ないだろうと確信を持って言える。

 今回は、いつもの観覧記と趣向を変え、それぞれのどの部分が凄いのか、自分が思った事、知っている知識から考えた事などを書いていこうと思う。

 まず、この大会はもはや名物となっている三尺玉を抜きにしては語れない、というメインの花火。今年は、その三尺玉に新しい試みが見られた。それは、水上に八重芯、空中でも芯入りとする。これは、途方もなく難しい挑戦だと思う。
 今まで空中三尺玉というと、割物,冠系統でも小割浮模様、千輪菊ものしかなかった。それは、超大玉だけが持つ難しい課題、軽量化という問題から、どうしてもそうなってしまう。水上でも芯入りは見られたが、八重芯は全国初ではなかろうか?今回の芯入り,八重芯に挑戦するにあたり、その花火玉の調整はとても難しかった事だろうと思う。
 もちろん、そのように花火に仕込んでも、実際にそう見えなければ残念な結果だし、調整次第では、とても危険が伴う。非常に高い技術が要求される。
 結果、2発とも無事に開花。三尺玉の圧倒的な存在感!尺玉のように端正の整ったものとはいかないまでも、そのように見えるだけでも凄い事だ。そんな三尺玉を、今夜2発も見られるなんて、これは、アルプス煙火さんの気迫とチャレンジ精神の賜物だろうと自分は思う。

 地元、能登煙火さん担当の部分も、とても気持ちがこもっていて素晴らしい!特に、顕著に出ているのがスターマイン。場所柄、ワイドスタマなど出来ない環境下にあって、限られた予算で見応えのある花火となると、贅沢なワイドスタマと対になる難しさがあると思う。
 「トロピカルフラワー」、「シャンパンシャワー」、「キラキラ乙女心」・・・・、タイトルをイメージして花火を見ると、本当にそのように見えてしまう。持ち玉を駆使して、打ち出すタイミングなんかも独特で、いつ見ても本当に上手い!全国津々浦々、色んなところに出かけるけど、どこの花火にも似ていない。これが素晴らしいです。
 7号〜10号の大玉花火も見応え十分、7号芸協花火は言うまでもなく、4〜5号単発でも北陸においては最強の品質だと思うし、型物花火では、地元のイメージキャラクター「わくたまくん」が会場を大いに沸かせていた。

 忘れてはならないのは、大会のスムーズな進行である。全く無駄のない、また花火を大切にする進行は、今大会の影の立役者であるように思う。大玉の玉名1発1発の丁寧な読み上げ、芸協7号に至っては、花火作家名まで丁寧に紹介される。
 これで、花火がどうしようもなかったら、とんでもなく退屈な花火大会になってしまう所なのだが、花火も見応え十分。だからこそ、今大会の進行も成り立つ。

 ざっと書いてみたけど、大きく分けてこの3つの事が重なり合って、より良い花火大会になっていると私は思うのだ。そりゃ、花火玉だけ見れば、有名どころの品質には敵わないところも確かにある。だけど、その高品質な花火でさえ、どれだけ無駄に上げられている花火大会の多い事か・・・・。
 夏和倉温泉の花火は、大会の規模、時間、バランス、花火の内容、進行・・・・、それらが絶妙に整っている素晴らしい花火大会、この事が、私が北陸で一番と言っている理由でもある。

 花火を見る目があるとかないとか、そういう話をよく聞く機会があるが、花火を見るという事はどういう事だと皆さんは思いますか?八重芯や三重芯、はたまたそれより上の多重芯が見極められないから、花火を見るがないというのか、はたまた、煙火業者を花火を見て見極められないから花火を見る目がないというのだろうか?また、そんな事が分かっただけでレベルが高いと思うのだろうか?
 結局は、花火を主催している人の気持ち、打ち上がっている花火の気持ちが分かってこそ花火を見る目があるという事ではなかろうか?
 最近の情報で、自分の趣旨に合わないというだけで、花火大会の評価を下したり、花火撮影に夢中になって花火を見てない愛好家も時折見かける。そういう人たちを見て、非常に残念に思うし、もっと花火を見てくださいと言いたいです。
 少なくとも、私より花火大会をハシゴしている方が多い訳ですから、きちんと花火を見れば、良い花火,悪い花火くらいは判断つくでしょうに・・・・。


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